頭ががんがんする。私はむくっと起き上がると、窓から外を見た。暗い。雨が降っているみたいだった。時計を見たら、2時だった。赤也はいない。赤也は私の家に住みつき始めてから、夜にいない日などなかった。別に、心配しているわけじゃあない。私は空になったビールの缶を捨てた。ビール、飲んだのか。 「未成年じゃないのかよ・・」 ぼそっと呟いた。私はベッドに戻り、まだ暗い空を見た。赤也、何してるんだろ・・。頭がぼーっとしてきて、寝そうになった。そのとき、窓がガラリと開いた。私は吃驚して、飛び起きた。入ってきたのは、赤也だった。 「赤也!」 「あ、・・」 赤也はずぶ濡れだった。赤也は、「悪い・・」と消えそうな声でいった。私は、「なにが」と答えた。赤也は喋ろうとしない。まあ、喋りたくないならいいんだけどさ。そういえば、仁王という男はどうしたんだろうか。あの男と握手をしたあとからの記憶がない。私は、「仁王だっけ・・」というと、赤也は、「仁王先輩がどうかしたのか?!」とさっきとは全然違う、焦ったような感じでいった。 「あ、あの後どうしたのかと思って・・」 「あ・・別に、普通に帰ったよ」 私はそう、と答えた。私はタオルで赤也を拭いてやった。わしゃわしゃと拭いてやっていると、赤也は突然私を抱きしめた。私が驚いて声も出さないでいたら、赤也が、「仁王先輩には、気をつけろよ」と耳元で言った。私は赤也に抱きしめられたまま、「・・ん」と答えた。赤也はさっきよりも腕の力を強くして、私を抱きしめた。 「ちょ、いた・・」 「俺、を絶対仁王先輩になんか渡さねえから」 私は、「・・あの男はなんとなく信用ならない気がするのよ」というと赤也はハハ、と笑った。私も軽く笑った。 (20070624)ずぶ濡れで笑った日 |