朝、転入生が来るという噂を聞いた。男子らしい。女子の間ではその噂で持切りだった。「かっこいいかな」とか「あんまり期待しない方がいいんじゃないかな」とかそこら中から聞こえてくる。チャイムが鳴って先生が入ってきた。先生は、「転入生の紹介をする・・切原」というと、転入生が入ってきた。あれ・・ちょ、待ってくださいよ




「切原赤也ッス!」




これからよろしく・・なんて言ってる転入生の顔は見覚えがある。赤也だ。私は頬杖をついていた手から顔が落ちそうになった。赤也が私のほうを向いて、にかっと笑った。女子たちは一斉に私の方を睨んだ。本当に誤解を生む行為はやめてほしい・・




「じゃあ、席は・・真ん中の列の4列目の右側な」




赤也は私のところまで来ると、「よろしくな、さん」といった。悪魔の微笑とはこういうことだと思った。私はなるべく授業中も休憩時間も隣を見ないように過ごした。

昼休み、赤也を呼んだ。既に赤也は友達ができたらしく、友達といたところを無理やりついてきてもらった。どうしても聞きたかったから。私は、「赤也がなんで学校にいるのよ!」というと、赤也は、「のこと仁王先輩から守らなきゃだし?」といった。私を守る、ため?




「じゃあ羽は?!あの小さい、羽!」
「消したに決まってるだろ」




馬鹿じゃねえの?と軽く笑った。赤也に笑われた。ちょっとムカツク。ぼそっと赤也が呟いたような気がするけれど、聞こえなかった。そういえば、人魚姫みたいだと思った。






(20070628)人魚姫みたいだ