「傘もってきててよかったー」 「え、まじで?天気予報晴れだったじゃん」 「冬の天気は変わりやすいから」 じゃあ、といって友人は帰っていった。薄情者め。 これからどうしよう。びしょびしょになって帰るのは嫌だけれど、これ以上遅くなるのも嫌だ。 「どうしたんだよ」 「あ、丸井」 「おー見事に降ってんな」 「だよねー」 「傘は?もってきてねーの?」 「そうなんだよね・・・」 こうなったらびしょびしょになって帰るか・・・。 覚悟をして出ていこうとしたら、腕をつかまれた。なんで! 振り向くと、丸井は少し困ったような顔をしていた。困るのは私のほうじゃないのかな・・・。 「ってば、濡れて帰るつもり?」 「うん、そーだけど」 「あー、うー・・・」 「?」 「じゃあ、よ・・・」 「うん?」 「俺の傘で相合傘しねえ?」 「これなら、濡れねえだろぃ」 (そういって笑顔で傘を差して私を引っ張る君が、とても眩しい) |