移動教室から帰ってきて教科書を机にしまおうとしたら、指先に痛みが走った。思わず手を引っ込めると、指先には赤い血が流れていた。私はぷくっとでてきた血を舐めた
「痛いなあ・・」
血が止まったことを確認して保健室へ行こうとしたら、こちらを向いて女子が数名くすくすと笑っていた。私はあいつらがやったのだと悟った。私は女子たちの前を通るときに、「やることが幼稚なんだよ」と呟いた。振り向くと女子たちは目を見開いて、私を睨んでいた
保健室へ行ったけれど先生はいなくて、結局自分ですることにした。小さい傷くらいは自分で手当てできる。私は消毒液を指につけた。そうしたら、後ろから声がした
「あれ・・さん?」
「あ・・ジローくんか」
「どうかしたの」
少しジローくんは怪訝そうな顔をした。私は、「ちょっと指切っちゃってね」というと、ジローくんは、「自分で、じゃあないよね」といった。あれ・・なんでわかったんだろう
「そうだけど・・」
「指見せて」
「ん」
私はジローくんに見せた。ジローくんは、少し悲しそうに見つめて離した。そして、「ごめんね・・」といって、走って出て行ってしまった。私は、言葉の意味を読みきれず、ただ、立ち尽くした
青春デリバリー #04(20060810)