ザーザーと降ってきた雨に、運悪く傘を持っていなかった(だって朝の天気予報じゃ曇りマークだったのよ・・!)
私は少しと言わずかなり塗らされて。
服や髪の毛が肌にくっついて気持ち悪いし学生鞄もびっちょびちょ。
うわこれ最悪だなと思いながら走って走って、マンションの一室に駆け込んだ。
1人暮らしするのには申し分ない広さの部屋。
両親が仕事の関係で海外に転勤することになった時、
日本に残りたがった私に(しぶしぶ)用意してくれた部屋だ。
家事は心配いらないし(これでも一応全般できるから)
何時でも友達呼べるし作戦会議(リボーンさんたちとのね!)にももってこい、
というわけで始めのうちこそ浮かれ気分だったのだけど。
1人になってみると寂しいし怖いということに気付いてからはなるべく学校にいる時間を増やそうと努力した。
・・まあ、風紀委員の仕事で残ったりしたことくらいだけど。
鞄を玄関入ってすぐのところにドサッと置くと、
とりあえずこのままじゃ風邪ひくな!と思い風呂場に向かった。
ガチャ(開ける音)
「やあ、」
・・・・・・ガチャ(閉める音)
――――――リビングへと繋がるドアを開けた瞬間、
私は疲れているのかなと思った(幻覚と幻聴が一気にやってきたよ)(あれ、それじゃ夢みたいじゃないか)
そりゃあの人と私との関係上ここにいてもおかしくはないのだけど、
瞬時に思い浮かんだのは家の鍵を閉めていたことと窓の鍵も閉めていたこと。
一体どうやってここに入ってきたんだろう!
リビングのドアをまた勢いよく開けて、その人物をもう一度確認する。
「・・・・・・酷いね、僕を見てドアを閉めるなんて」
不機嫌オーラを丸出しに立っているその男、「雲雀恭弥」は、ずぶ濡れでそこに立っていた。
床も濡れていることからまだ来て間もないことが分かる。
「・・・・・・もしかしてあの雨の中を傘もささずに(バイクで)走ってきたとかですか」
「察しがいいね」
無表情の中に不機嫌さが含まれていた最初と打って変わって、彼はにやりと笑うと私の方に近寄ってきた。
こういう笑顔の時は決まって良い事は起こらないんだ、と思いながらもどうすることもできず、
ただ恭弥を見ていた。
すると私は左手を掴まれ(冷たい)、恭弥の方に引き寄せられると抱きしめられた。
シャワー浴びてきたばっかりなのにまた濡れちゃったじゃん、とか、恭弥凄い濡れてる、とか、
早くあったかくした方がいいよ、とか思いながらそっと私も彼の背に手を回して。
ぎゅっと抱きしめて、「寒くない?」と尋ねた。
彼は一言、「寒い」と言った。
暖を求めて私を抱きしめたのだろうか、でもその行動一つで、愛しい気持ちがまた一つ増えて。
彼の場合滅多にないことなので更に嬉しくなる(頼りにされているようで)
ぎゅう、と恭弥を抱きしめてから、私は力を緩めた。
すると恭弥も抱きしめる力を緩めて、それが合図のように私が顔を上げるとキスを一つされた。
なんだか甘えてるようにもとれるこの行動に頬が熱くなり、それを隠すように私はまた恭弥を抱きしめた。
「、髪の毛乾いてないよ」
「今乾かすとこだったから。・・・ねえ恭弥、シャワー浴びてきなよ」
「いや、いい」
「え?」
恭弥がなんとなく笑ってるような気がして上目遣いで見てみると、
今度は顎を掴まれて長いキスをされた。
舌が侵入してきて、酸欠で頭がぼんやりとしてきた頃やっと解放されて。
力をなくした体は恭弥に抱き上げられ、寝室へと連れて行かれてた。
「恭、弥、風邪ひくって・・・」
「ひかないよ。が温めてくれるんでしょう?」
電気もつけていない部屋は暗かったけど、恭弥の目が鋭く光っていたのは分かった。
雨の夜に訪れた獣
(抵抗もせずにむしろ受け入れてしまう私は、相当貴方に溺れているのね)
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