朝は、騒がしい。私は友達が来るまでの暇つぶしとして読書をしているけれど、今日ばかりはいつになく騒がしくて集中できそうになかった。私は本をぱたんと閉じた。畜生と思いながらもぼーっとすることにした。そして、思い出すのはさっきのことばかりだった。さっきのことなのに、思い出すだけで緊張してきた。不二くんの視線は鋭くて、けれどその鋭さの中にも優しさが含まれているような気がする。私がここまで考えて、ふと気づいた。教室が、静かになった。 「さん」 「ふ、じくん・・・」 「ちょっと、いいかな」 「い、今?」 「うん・・・2人で話したいことがあるんだ」 「いいけど・・・」 「よかった・・・きて」 クラスメートの視線が痛い。ちなみに、女子からの視線のほうが痛い。なんで、私を・・・あ、さっきのことかな?でも、教室で話せるし・・・なんなのだろうか。私は恥ずかしくて俯いたまま、不二くんについていった。着いたのは、まあ教室からそんなに遠く離れていない指導教室だった。「僕のサボり場・・かな。ここなら誰も来ないし」そういって入った。 「あの・・2人で話したいことって」 「ああ。さんって好きな人とかはいるかい?」 「い、いないですよ!なんで・・」 「それは・・・」 そこまで聞いて、突然目の前が揺れた。「起きてってば」友達の声がする。不二くんは構わずなにか喋っているが、聞こえない。私はがばっと起きた。「あ、起きた」もしかして、今までのは全部夢・・だったの?はあ・・・夢オチですか。 「むっ。なによ、残念そうな顔して」 「なにもない・・」 でも、凄くリアルだったなあ・・・現実と夢の区別がつかなくなるほどの夢なんて見たことなかったから、本当に現実と間違えたし・・。不二くんがそんなに印象的だったのかな?夢にまで出てくるって・・・どんなよ。私は不二くんをちらっと見ると、目が合ってしまった。私は思わず勢いよく目線をそらしてしまった。・・なんか、恥ずかしい。勘違い、されちゃったかな?でも、顔があわせづらい・・・。この夢、続きどんなだったんだろ。気になるような・・・けれど、さっき見た夢がとても幸せな夢だったということは覚えている。 |