ついてない。そう思った。体育の先生が、「すぐそこの体育館倉庫にこれ、おいてきてくれ」といって、用具を預けられた。まだ、相合傘は解決していない。なんで、私の名前が?ただ、気になった。 体育館倉庫は埃っぽかった。私は用具を一気にどさっとおくと、埃が舞った。私はごほごほ、と咳をした。ここ、いつ掃除してるんだろ・・・。心の底から思った。私がぼーっとしていたら、後ろから、「あれ・・さん?」と声がした。いきなり、鼓動が早くなった。 「不二・・くん」 「ああ、やっぱりさんだった。後姿がそうだったから・・」 「不二くんは、なんの・・用で?」 「ん・・ちょっとね」 会話は続かなかった。鼓動は静まりそうにもない。聞いた、ほうがいいのかな・・?私は無意識にちらちらと不二くんを見ていたらしい。不二くんと目が合った。私は、「ひとつ、いい?」といった。 「いいよ。なに?」 「その・・不二くんの、机に落書きがあって、」 「ああ、英二が書いたやつか」 「そこにね!そ、その・・相合傘、があって・・・」 「相合傘・・」 「わ、私の名前とふ、不二くんの名前・・・が」 あったの、と消えそうな語尾でいったら、不二くんが、「それ、本当?」と動揺もせずにいった。そ、そっか・・・不二くんにとってはどうとも思わないことだもんね。動揺なんてしないの、当たり前か。私はうん、と消えそうな声で答えた。不二くんはなんか考えているみたいだった。 「あ、じゃあ・・そろそろ出ようか」 「ああ、時間だろうしね」 私は体育館倉庫のドアをあけようとした。体育館倉庫は障子みたい開くから、私は力を込めて横に引っ張った。けれど、びくともしない。不二くんは、「どうしたの?」と聞いてきた。私は困ったように、「扉が、開かない・・みたい」といった。不二くんは、「さん、交代して?」といった。私は、不二くんと交代した。女の私よりは力があるから開くかも・・と思ったが、不二くんは、「鍵を、閉められたかも」といった。私は苦笑いした。 |