さて、どうしたものか。鍵がかかっていることに気づいてから、数十分は経過したと思う。ドアは開かない。不二くんはドアを見たり、周りを見渡したりして何かを考えているようだった。窓を見ると空がもう、オレンジ色に染まっていた。私はもう1度、きいた。




「相合傘の、こと・・」
「なに?」
「不二くんは、どう・・思った?」




最初見つけたときは、恥ずかしかったけれど・・でも、不思議と嫌ではなかったことを覚えている。不二くんは、「僕は、嫌じゃあなかったよ」と笑っていった。私も自然と笑みがこぼれた。不二くんははっとして息を呑んだ。私は、「どうかした?」というと、不二くんはふるふると首を振って、「なんでもないよ」といった。


どうしても、ここから出られるとは思えなかった。不二くんはずっと立って考えていてくれている。私は、「不二くん、ここ・・座って」と私の隣をぽんぽんと叩きながらいった。




「え、でも・・」
「あ、そっか・・狭いよね」
「ううん。隣で、いいの?」
「え?別にいいよ」




そういうと、不二くんは私の隣に座った。近い。私は、「出られるかな・・」といった。不二くんは私の目を見ながら、「大丈夫。さんだけは守るから」といった。私は赤くなる顔を隠すように、俯いた。

少し静かになった。すると、外のほうから声が近づいてきた。男子らしい。私と不二くんは顔を見合わせた。多分思ったことは一緒。出られる・・!そう、思ったと思う。がちゃ、と鍵が開いた。




「あ、不二とさんじゃーん!」
「英二か」




開けたのは菊丸くんだった。不二くんは立ち上がって、菊丸くんと話している。ふと、思った。不二くんの背中が大きい。不二くんは華奢な体格だと思う。でもそういうことではなくて、なんとなく、背中が大きいと思った。不二くんは振り向くと私に手を差し伸べてくれた。私は、「ありがと・・」としか言うことができなかった。この手を一生離したくないと思った。




ステップ・バイ・ステップ #07(20070614)