手塚くんは、教務室で竜崎先生と話していた。何を話しているかは聞こえないけどやっぱり、練習試合のことかな。私は、「失礼します」といって教務室へはいった。私が手塚くんの方へいくと、手塚くんは私をみてすぐに、「、俺に用か?」と話しかけてくれた。私は、「うん、そうなんだけど・・」といって、チラッと先生の方をみてから、「お話は、いいの?」と聞いた。私の話はいつでもいいから、中断などされたくない 「ああ、終わった」 「そっか」 「それで、用件は?」 「あの、今度の練習試合のことなんだけどね」 「それがどうかしたか」 「ま、マネージャーをさせてほしいんだけど・・だめ、かな」 私が手塚くんの方を見ると、手塚くんは表情を変えずに考えていた。すると竜崎先生が、「いいんじゃないか、手塚。ちょうど人手不足だったんだろう」といってくれた。私は、「もし、私が役に立つんだったら手伝わせてください」と頭を下げた。すっと横を誰かが通った。少し頭を上げると、周助くんが前にいた。「僕がお願いしたんだ」「し、周助くん?」「僕からもお願いするよ・・・手塚」不二くんは少し、すっと目を開いて手塚くんを見た 「・・・わかった」 「え、いいの?」 「だが、いきなりでは効率がよくないだろう」 「そ、そうだね・・」 「だから練習試合までの間、部活に来ておいた方がいいと思うが」 手塚くんの言うとおりだと思った。私はこくんと頷いて、周助くんを見た。「私も今週、一緒にテニス部にいっていいかな?」と周助くんにきくと、周助くんはにこっと笑って、「いいよ」といった。よかった・・。これで、周助くんのテニスをしている姿を近くで見られるようになった、のかな。テニス部はすごく楽しそうだ。練習試合までだけど、頑張ろう 「あ、ジャージの方がいい・・よね?」 「そうだね。たくさん動くだろうし」 「ちょっととりにいってくるね!」 私は急いでジャージをとりにいった。こんなに足取りが軽かったのは初めてかもしれない。ニヤける顔を手で隠すようにしながら、走った。周助くんの大好きなものを1つ知ることが出来る・・そう思ったら、喜びがこみ上げてこないはずがない。しっかりと手伝おう。そう、このときはこんな幸せな日々が続くと思ってた。信じてた。知らず知らずのうちに物語りははじまってしまったことを、誰も知らない |