気がついたら周りには何もない真っ白なところにいた。どこが壁でどこが床なのかがわからず、とりあえず歩き回ってみたけれどなにも変わらない。正直めんどうくさい。しかも、なんでか知らないけど私はびしょ濡れだし。なんでこんなところにいるのか、なんでこんなことになっているのか、とか思い出そうにも思い出せない。思い出そうとすると、頭が痛くなる。めんどうくさくなってきたし、ここらで休憩するか。 というか、私って誰だっけ。 「お前はお前だ」 びくっ。び、びっくりした・・・。びっくりして少しチビりそうになったよ。というか人いたのか。周りを見渡してみるけど人らしき姿は見当たらない。・・・?じゃあなんで声がしたんだ。ああ、空耳か。私が少し頑張りすぎたんだよ。こんなにめんどうくさいことを途中まで頑張ったりしちゃうから疲れたんだよ。そうだよ、いつもしないことをするから空耳が聞こえちゃうんだよ。うん。休もう。 「コラ。勝手に決めつけんじゃねー」 「・・・小さいオジサン?」 「オジサンじゃねえ!」 「・・・オッサン?」 「さらにイヤだ!」 「もう、わがままなんだから」 「(ええーーー?!)」 なんか全長10pくらいの大きさのオッサンが目の前をちょこまかちょこまか動いていた。・・・ああ、目までオカシクなっちゃったのかな。いっそのこと寝てしまおうか。そういえば睡眠不足だったよな・・・。真っ白なとこですることもないし、ちょうどいいか。あーなんかふわふわしてきた。こんなになにもないところなんて今までであったっけ。いや、ないよな・・・。静かだ・・・ 「オイ、起きろ!起きろ!」 「・・・」 「ちょ、話聞けよ!オイってば!」 「・・・」 「オーイ!」 ・・・このオッサンうぜえ!ちょこまかしてるからさらにうぜえ!私の睡眠を邪魔するとどうなるか・・・思い知らせてやろうか?ああ? 「オッサン・・・潰すぞ」 「なに?潰せるもんなら潰してみ「よし、言ったな?言ったな?」 「え、あ、ちょ、まっ!」 私は親指と人差し指でオッサンを持ち上げた。わー軽い軽い。 「プチッと潰してやるよ」 「ああああウソですウソですスイマセンスイマセン!」 私の親指と人差し指の間でジタバタしているオッサンは必死だ。アハハ、おもしろーい。ちょっと力強めてみよ・・・「イテテテテ!あ゛ーーー死ぬ死ぬ!」ちょっと青ざめてるけど・・・大丈夫かな。 「・・・大丈夫・・・?」 「お前がやったんだろ!」 「だっておもしろいんだよオッサン」 「もうオッサンでいいや・・・」 そういえば、このオッサンなんなんだろう。人間にしては小さすぎるし、でもこんな人間もいるのかな・・・。いや、少なくとも私は見たことはない、はずだ。うん。人間・・・の姿してるけど、人間じゃないって・・・一体なんなんだ。 「オッサンてなんなの」 「!よくぞ聞いた、よ」 「(ちょっと嬉しそうにした・・・)なんで名前・・・」 「俺は神さまなのだ」 「・・・神、さまさん?」 「ふざけんなよ(ニコッ)」 いや、だって誰でもいきなり「私神さま!」って言われても信じられるわけがないだろう。つかこんなのが神様とか信じたくない。オッサンが神さまってことは、ここは天国ですか。そうですか。・・・私ってば死んだんですか。えー死んじゃったのか。私残念★ 「で、神さまが私になにか用でも?」 「ああ、お前は違う世界へいってもらう」 「ハア?なんでまた・・・」 「なんでもだ。さあいってこい」 「いきなりかよ!ちょ、待っ」 神さまがパチンッと指を鳴らすと同時にさっきまで白かった床が開いて、私は落ちていった。うーん・・・この浮遊感はいかんなあ。気持ち悪くなってきた・・・っていうか、これ、助かるの?割と冷静な私の頭に神さまの声が響いた。 「あとでまた教えてやるから、とりあえず達者でな!」 達者でな!じゃねえよ。これ、助からなかったらどうなんだよ。そんなことを思いながら意識は遠のいていった。 ―――誰か、私を・・・助けて |