春の暖かいような冷たい風が吹いた。春といえどもまだ少し肌寒い。スウェットで来たのは間違いだったか。ポケットに両手を突っ込み、コンビニへ行った。幼くなった私にとっては重くなったコンビニの扉をぐっと押し中へ入ると暖房が少し効いていた。何を買おうかと思い、とりあえず店内を回ってみた。 「(ごはん、パン・・・めん、いや、今日はパンかな)」 なんとなくごはんは重い気がするし、めんという気分ではないから、今日はパンにすることにした。値段を見てみる。もうちょっとリーズナブルなのがいいんだけど、まあ仕方ないか。・・・明日からちゃんとスーパーへ行こう。一応料理はできるはずだ。コッペパンとかがいいかな・・・いや、サンドウィッチがいいな。ハム食べたい。サンドウィッチの売り場へいき、手を伸ばした瞬間、隣から伸びてきた手と重なった。 「あ」 「・・・」 ちなみに私の手の方が下だ。私は黙って手が伸びてきている方を見た。すると、髪が長くてボサボサなんだけどダラしない感じがしない男の子がいた。同じ身長・・・中学生くらい、かな?ということは、年上の私が・・・って今中学生じゃん私!でもこれ食べたいしな・・・、いいか。私は男の子が固まってるうちにサンドウィッチをサッととって、歩いていこうとした。 「ちょ、ちょっと・・・!」 「・・・なに」 「俺もそれ、食べたいんやけど」 ・・・関西弁だ。なんだか違和感。なんとなくイケメンな気がするし、そしてなぜにこれが食べたいのか。他のではいけないのだろうか。と言葉にすることはしないで、ため息をついた。 「・・・めんど」 「(ええーーー?!)」 じーっとサンドウィッチを見つめて、惜しそうに男の子にサンドウィッチを差し出した。男の子は、「・・・いいんか?」といった。不安げに見つめる表情にちょっときゅんとしたのは気のせいだ。私にSっ気はないはずだ。というか、くどいなコイツ。 「食べたいんでしょ?」 「でも、君も食べたいんとちゃうんか」 「食べたいよすっごく」 「・・・」 「・・・」 「・・・えーと」 「じゃあ、うちくる?」 「は?!」 「うちで分けて食べればいいじゃん」 そうしてなぜかうちに来ることになったのだ。 |