またこの男は、命を自分から削るような行為をしているのか。 私は呆れつつも、この毎日のように煙草を吸っている獄寺隼人という名の男に近づき、 不意に煙草を口からとってやった。(気配を消して近づくことだけは得意なんだよっ) そうしたら、隼人は驚いたように振り向いた。「なんだ、てめェか」って失礼な。



「そーですね、アンタの大好きな10代目じゃなくってごめんなさいね。」
「は?んなこと言ってねェだろうが」
「いやいやいや、いいのよ」



「ごめんなさいね」まで言うと、隼人がもう一本煙草を出して吸おうとしている姿が目に入った。 私は、入れ物ごととってやった。そうしたら、流石に全部とられたからだろうか。 「てめっ!返せ」と取り返しに手を伸ばしてきやがった。 (まったく、自分のことはどうでもいいのか)(心配するほうの身にもなってみろや、このやろー)



「いやよ。返さない」
「おまっ」

「だって、アンタが早死にしちゃったら・・・私どうすれば」



私がそこまで言ったら、口を塞がれた。勿論、唇で。 私は、こうなることを予想していたし(そういう風に教育されていたんだ) なによりも、こうなることを私自身が望んでいたんだ。なにより、も。 「ん・・・はぁっ、」さ、流石に息がっ・・・! 酸素が足りなくなってきて、隼人の背中をどんどんと叩いてみた。 すると、唇をパッと離してくれた。(いつもより、短い・・・な)



「・・・俺が、」
「ん?」
「お前を置いて死ぬかよ、ばーか」



鹿