今日は、忘れられるはずがないアイツの誕生日だ。 あああ・・・なんというか、私は嘘をつくのが苦手である。 (友人らは顔に出やすいんだよは、っていうんだけど)(褒めてくれてるのかな、それ) 多分、バレているのだろうなっていう妙な自信とともに今日はプ、プレゼントを持ってきた・・・のです。 (ほんと、バレバレな態度とってるんだろうなー)



「きゃーーーーー跡部様ッ」



お、お出ましか。そう、私の想い人・・・跡部景吾。 俺様何様跡部様っていう、ナルシルト野郎だ。 (多分、コイツ以上にナルシストなやつなんてこの世にいないんだっ!) ついでに言うと、泣きボクロがエロい野郎だ。 (私は故意につけたんじゃねェの、って言ってみたけど全面拒否されたよっ)(当たり前) って、私がこんなこと思ってる間にファンに囲まれちゃってるよー。(哀れ!跡部)



「あらあら、跡部クンや」
「あってめェ・・・っ」
「いい気味ね、ホホホ」
「た、助けていきやがれっ」



「いやよ」と一言残し、スタスタと跡部の隣を通って去っていった。(わざと、ね!) いつも、こんな感じなのだ。 私が意地っ張りな所為で、可愛いことなんて一言も言った試しがない! (言ってみたことは、ある・・・けど)(気持ち悪ぃ、って言われてからは言えない・・・!) (結構ショックなんだよっ) 本当は、連れ去りたいほどの気持ちは持っていたし、跡部に好きだとも言ってしまいたいくらいな気持ちだけど。 (私の勇気が、足りない)このまま、跡部とは会いたくないと思うけれどもそうはいかない。 (だって、クラスメイトだもの)(こんなときにまで、神様は味方になってくれないのね)

*


あーほんと、嫌になっちゃうよ。跡部はまだきてないっていうのに、机にはプレゼントの山々。 (のりきってなくって、落っこちてるのもあるし)(いい迷惑、じゃないのかな) とかなんとか言ってる間にご本人が到着したみたいですね。 (しかもめずらしい、表情が微妙に引きつっております。跡部氏っ) (さぁ、どうする?どうするんだ跡部よー!)



「チッ」



・・・さりげなく、舌打ちが聞こえました。 もう、めんどくせぇなっていうオーラがひしひしと伝わってきちゃうんですけどー! (やっぱり、な!)あーほんと、跡部のファンってお嬢様が多い・・・と思う。 けど、礼儀っていうのがなってないよねー!(はー) 仕方ない、手伝ってやるか。(本当は、やりたくてやりたくてしょうがないんだ) (跡部の視界に、入っていたい)



「・・・跡部、」
「んだよ」
「手伝って、あげる」
「あー・・・別にいい」
「なんでよ!」
「うちのやつ呼んだからな。すぐ来るだろ」



・・・お坊ちゃまめっ! くそー、久しぶりに可愛らしいこと言ってみたつもりだったのに! あーもう、跡部ー・・・(っていうか、いつ渡せばいいんだろ)(もらって、くれるのかな) (いや、でも・・・他の人のももらわないみたいだし・・・) あーもう!ぐだぐだ考えててもしょうがないっ(今は、授業に集中集中っ)





*





結局、考えもまとまらないし、跡部も休憩の間ずっとファンに囲まれてたし、プレゼントなんて渡せる隙など見つからなかった。 (ホッとしたような、残念なような)(でも、) 放課後・・・多分、部活の時間は誰も、ファンも邪魔はしないだろう。 (跡部がどれだけテニスを大事にしているか、をわかってると思うから) そういう私は、マネージャーっていうファンが羨む地位にいたりして。 (跡部からの依頼で、半強制だったんだよね)(でも、それが嬉しかったり)



「ほんと、どうしよ」
「なにが、だ?」



ドリンクをあらかじめ作っておこうと思って、一人で部室にいたつもりだったんだけど・・・。 後ろから、跡部に声をかけられた。ホント、ファンだったらぶっ倒れてるね。 このシチュエーション。(だって、さ。部室に2人きりだよ!ちょっと、私も期待しちゃってるし) (でも、そんなのなんか無駄で、)「・・・別に」と跡部に無愛想に言うが、跡部はそこから動こうともしない。 (どうか、したのかな・・・)



「跡部、どうした」
「お前、」
「・・・なにさ」
「ねェのかよ」
「、は?」
「俺様へのプレゼントだよっ」
「っ・・・くくっ」
「なにがおかしいんだよっ」
「自分でプレゼントせがむ人、は・・・初めてみた。っ・・・」
「チッ」



は、腹痛い・・・。でも、本当だよ。 真顔で、「俺様へのプレゼントは」って!くくっ・・・! 私は、もう暗い考えなんて吹き飛んでいて、笑顔でプレゼントを渡した。 跡部は、表情の変化はあまりわからなかったが、オーラが少し変わったような気がした。 (室内の雰囲気が明るく?なった感じ!)「みた?」って聞いたら「あぁ」って。 (跡部、どういう反応するかな・・・っ)



「どう?」
「どうって、お前・・・」
「いいでしょ、それ」
「さァな」

「あ、そうだ」

「あーん?」
「他の人のって、もらった・・・の?」
「・・・フッ」
「ムッ!なに、その笑い方」
「なんでもねーよ」
「はっきり言いなさいよ!」
「ばーか」





ほしいものはひとつだけ、
(俺様はお前の以外ほしくねーんだよっ!)