嗚呼、だから私は馬鹿と罵られるのだ。(ちなみにブン太に、だ) なんで昨日の私は幸村のファンのことまで頭が回らなかったのだろうか。 のん気にさ、今日はゆっくり幸村と一緒にいるんだー、なあんてさ、考えている場合じゃなかったんだよ・・・うん。 あのファンの形相といえば、まるで般若のようで恐ろしいです。 お陰で幸村とは一言も喋っていないというか、幸村の隣にすら行けていない状態のまま昼休みになってしまったのです。 くそう・・・今日のプランとプレゼントは用意したのに、なのに! 当の本人が居なければ意味がないじゃないですか! 幸村こそはプレゼントを全て拒否ってくれてるみたいだけど、あの優しい幸村・・・いつ受け取るか分からないんだよね(そわそわ) いや、さ・・・うん、幸村を信じないわけじゃあないんだけど、無理矢理受け取らせる子とかいるんだよね。 しかも、それが可愛い子とかだったりしたらさ、私・・・勝てっこないじゃんかよう。 幸村を想う気持ちは誰にも負けないんだけどさ、幸村が心変わりしちゃったら意味なくなっちゃうしさ。あー駄目だ! まだ今日1日会えないとは決まってないんだから、根気よくいこう! (そうでもしないと、本当、学校に居る間に喋れないじゃんか!) あ、誕生日を忘れたことなんて1回もないんだからね * * * 只今幸村のクラスの教室前の廊下におります。 中を覗くと、やっぱり幸村の周りには女子の大群が群がっていた。 というか、幸村が見えなくなっちゃってるからね。幸村が困ってるかすらわからない。 うっ・・・立ってくれていれば気付いてくれることも可能だったんだけどな。 私は背が低い方だしさ。 手を振ってもわかんないと思うし・・・こんなに騒がしいと大声出して叫んでもかき消されちゃうだろうしなあ。 どうしよう 「なんじゃ、。ドアの前でボーっとしよって」 「あ、仁王」 「あー・・・幸村か?」 「うん、ま・・・そうなんだけどね」 「おーおー。さっきよりも増して群がっとるみたいじゃのう」 私がちらりとドアの方を見ると、仁王はうんうんと感心しながら頷いた。 そして、少しその光景とじーっと見つめた。何か、考えてる・・・の? そろそろ昼休みも終わりに近いだろう。 あー・・・昼休みはもう諦めて、放課後に賭けようかな。 私がここから立ち去るか迷っていたら、仁王がゆっくりと口を開いた。 「お前さん、携帯は使ったんか」「へ?」 「携帯。電話・・・もしくはメールはしよったんかって聞いちょる」 ・・・あ。わー私ってば、なんで思いつかなかったんだろう(遠い目) よし、早速しようかnキーンコーンカーンコーンえー嘘ですよね? 神様相当意地悪ですよ。私なんかしましたっけー?そう、してないんだよ! もう、一目見たら教室に戻ろうかな・・・って、ちょ、待「放課後、待っててね幸村くん(はあと)」 「じゃあ、放課後に会おうねー(はあと)」ちょ、背が高いよ! この人達は、無駄に背が高いよ!ちなみに私は152pですけど、なにか?(にっこり) 流れに流されちまうだろうがあ!あ、ちょ・・・ぞろぞろと出てこないでよ! (本当泣きそうでしたからね)「ゆ、ゆき、幸村あ・・・」「。チャイム鳴ったから、教室に戻れよ」「う、うう・・・せ、先生の馬鹿野郎ーーーッ!」 はい、先生は悪くないんですよ。ただの私の八つ当たりです。 だから先生、泣きながら教室に入らないで下さい。(切実にね) * * * はあ・・・、時間が止まってくれるはずもなくあっという間に放課後になってしまった。 こういうときに時間よ止まれって切実に思うよね。 あーあー帰りのホームルームが終わったと同時にクラスメートよりも先生よりも早く出て幸村の教室にきたのに、とっくに終わって教室は蛻の殻という状態だった。 夕日が差し込んでいて、とても綺麗だと思ったけれど・・・浸っている時間はない。 あ、電話・・・電話があるじゃん。こういうときにこそ、電話! といわけで、電話しまーす・・・プルルル、プルルル、機械音が私の耳に響く。 早く出ないかな、幸村・・・プル、「あ、もしもs」「只今、電話に出ることができません・・・」 ちょ、ちょっと?!携帯の電源くらい入れておこうよ、幸村! あーどうしよう・・・早く渡しに行かないと、!幸村がいそうなところ、いそうなとこ・・・あ、? もしかして、いや、多分ってかほぼ絶対なんだけど、あそこの女子の群れ、と真ん中にいる男子は・・・幸村? ってか、あれ・・・幸村じゃん!い、い・・・行かなきゃじゃん! 私は群れがいるところへと全力で走っていった。くそう・・・帰宅部をなめんなよ! もう、制服とか髪の毛とか乱れまくっているけど、すぐそこに迫っている幸村のことを考えたらどうでもよかった。 あと、10数メートル・・・!「ゆき、ゆき・・・むらあっ!」 力いっぱい叫ぶが、きゃあきゃあという甲高い声にかき消されてしまう。 くそ・・・実力行使でしかないのか。私は女子の群れを掻き分け、掻き分け、無理矢理入り込んでいった「ゆ、き・・・幸村!」 隙間から手を伸ばし、名前を力いっぱい叫んだ。すると、伸ばした右手が誰かの手に掴まれた。あ、これ・・・は、「・・・待ってたよ、」そう言って幸村は、群れから私を引っ張り出し、ぎゅっと抱きしめてくれた 「ゆき、むら」 「手、冷たいのに・・・ほかほかしてる」 「ん、走ってきたから」 「制服、ちょっと乱れてる」 「だから、走ってきたし」 「ああ、お疲れ様」 にっこりと微笑む幸村は、まるで天使のようだ。 私は切れている息をゆっくりと肩を上げ下げしながら、整えていった。 ちなみに、さっきまで群がっていた女子達は今の健在だ。 その女子達は痺れを切らしたのか、幸村に縋りついてきた。 ちょ、彼女の私がいるんですけど?! 「幸村くん、無視しないでよお・・・幸村く「静かに、してもらえるかい?」 「え、」 「俺はと2人でいたいんだ」 「でも!今の今までは一緒にいなかったじゃない!それに、彼女さんよりも私たちの方が可愛」 「君達、・・・邪魔だよ」 幸村は微笑を崩さずに言い放つと、女子達は涙目になりながら走っていった。 ついでにいうと、ちょろちょろいた男子達も消えたんですけど・・・何故ですかね。 ま、いいんだけどさ・・・2人きりになれたしね「あ、幸村・・・目、瞑ってよ」 「いいけど・・・なんだい?」「ちょ、待って・・・あ、目明けていいよ」 私は幸村にピアスをあげた。 勿論、まだマグネットだけど・・・テニスしてるし、取り外しが簡単なほうがいいと思ったし、気に入ってくれるかな 「ピアス・・・マグネットタイプのやつか」 「うん、あれ・・・テニス以外のときにでもと思ってるんだけどね」っていうか、この状態恥ずかしいかもって今思い始めてきちゃったよ。 抱きしめられてる状態なわけでしょ・・・?う、わ・・・バカップルとか思われるよ絶対に! は、恥ずかしい・・・「片方は、がつけてよ」「え、?」「お揃いみたいでいいと思わない?」 「あ、え、でも・・・いいの?」「俺がそうしたいんだ。・・・駄目、かな」 「いや、私はいいよ!うん、大歓迎ですからね!」「じゃあ、俺がつけてあげるよ」 そういって、幸村は私の右耳に近づいてきた。え、あ・・・ま、ちょ・・近いよ! 近い近い近い近い!やばいよ、これは! こんなに近いのなんて、その・・・キスしてるとき以外あんまりないから緊張するよ! 私が緊張していると、幸村はふと笑った。「ちょ、笑わないでよ!」 「いや、緊張してるのも可愛いなと思ってさ」「ゆ、幸村!」「はい、付け終わったよ」 少し、右耳を触ったら、ピアスの感触がした。お揃い、かあ・・・なんか嬉しいかも。 なんとなくニコニコしていたら、幸村はまた近づいてきて、耳元でこう囁いた「ありがとう、俺の可愛い可愛い彼女さん」 |