そういえば、今日は放課後に委員会があったな・・・俺としたことが、すっかり忘れきってしまっていたようだ。 多分、それも昨日のことがどうしても頭から離れない所為だと思う。 俺の誕生日、あんなに必死になって俺を探してくれるを見れるなんて思って見なかったし、あんなに俺に縋り付いてくるも他の女子を掻き分けて俺を掴もうとする姿なんて見たこともなかった。正直、が俺を想っているということをこんなに実感する日が来るとは思っていなかった。まあ、図って女子をわざと俺の周りに置いてたのは事実だけどね。誤算は、その女子達がすぐに引いてくれなかったことくらいかな(お陰で少し本性出しちゃったじゃないか、フフ)流石にも目を見開いていたけれど、多分単純だから大丈夫だとは思うけどね。そういえば、昨日を抱きしめたときは少し大人しかったな・・・大人しいのも可愛いね。 勿論、普段も可愛いけどね?素直なもいいかな、なんて・・・ああ、そろそろ時間か。委員会へと急ごうか *
* * あ、そういえば・・・今日ってば、委員会じゃね?ってことは、幸村が部活に来るのが遅いってことですね! よっしゃー少し部員のみんなとお話できるぜ!え?いつもはしていないのかって? あれですよ、幸村ってばさ、淡白に見えて実は嫉妬深くてねーうん、ちょっと笑いあっただけで成敗くらっちゃうんですよ(いや、その・・・拗ねた姿も可愛いけどさ!) だから、たまに幸村が遅れてくるときなんかはフィーバーですよ(ははは!) あ、真田だ「おーい真田」「む?」クルッと真田が振り返った。 あ、ちょ・・・ごめん、キモかった「あ、ごめん」「なにがだ」 「うん、全体的に・・・ね」「お前なんか失礼なこと思っておるだろう」 「いえ・・・別に、(目を逸らす)」あー本当、なんか目に悪いよね真田ってさ。 あ、そうだ・・・「今日さ、幸村遅れるじゃん?」「なぬ?そうなのか?!」・・・え? え、いや・・・え?「いや、え、知ってたんじゃないの?」「聞いていないが・・・」 ・・・幸村、副部長くらいには言っていこうよ「・・・幸村は委員会だってさ」「む、そうなのか」 「そうですよ」なんか・・・幸村が普段真田をどういう風に扱っているのがわかってきた気がする。 哀れ・・・真田よ(ご愁傷様です) 「あ、じゃん」 「・・・」 「え、無視?!」 「嘘ー」 「吃驚させるなよ!」 「ブン太の反応が可愛いからさ、ついね」 「可愛くねぇよ!」 「あははー」 「笑って誤魔化すな!」 本当、他の女子が言うようにブン太はかっこよくて可愛いと思う。 試合のときなんかはモロかっこいいけれど、普段なんかは食い意地が張ってる男の子って感じで可愛いと思う。 ・・・嫌味っぽいけどね(それはテニス部と関わるようになってきてからわかったことです) でも、可愛いんだよな・・・うん、弟みたいでさ! 私弟いないから、嬉しいのかな(きっとそうだ、そうに違いない) ちなみによき相談相手にもなってくれて、・・・便利だよ(失礼だな!) 「ったく、」「あ、お菓子?」「お前にはやらねーよ」「えーケチだな」「うるせ!」 ほら、可愛いでしょ?やっぱり、弟だ、弟!「1つでいいから、ね?1つ!」 「・・・それ以上太っても知らないぜぃ」「ん?なんか言った?」「なんでもねー」 太るは女の子には禁句なのよ!(え)私は1つ貰い、頬張り始めた。あー・・・うまい! (ちなみに貰ったのは、ガムだ)ぷう、と膨らませているとブン太が唐突に私に質問してきた。 「なあ、」「んー?」「昨日どうだった?」ぱちん、べちゃ・・・「うわ、汚いな、お前!」 「う、うるさいよ!昨日って、昨日って、」「幸村と一緒にいれたのかって聞いてるんだよ」 うわ!単刀直入だな!っていうか、わかってるんじゃなかったんだね 「お前のことだから、ファンのことを忘れてるんじゃないかと思ってさ」 「お、仰るとおりでふ・・・」 「マジか?!半分冗談だったんだけどな」 「それこそマジかよ」 「でも、馬鹿だな」 「馬鹿ですよーだ」 「だけどな、」 え?と聞き返した。今までと全然声の音程が違ったから、思わずブン太の方を向いてしまった。 「ど、したの・・・?」「俺、俺は・・・」ごくりと唾を無理矢理飲み込んだ。 次に来るであろう言葉を待って、ブン太に聞こえそうなほどの音が出たと思う。 「俺は・・・、そのあとは?なに」「お前のことがす」「す?」 「やあ、ブン太。みんなもうランニングに行ったよ?」 「おっおう、幸村・・・今から行くところだぜぃ」「そう。あ、もいたの」「ん、幸村はランニング行かないの?」 「俺は行かないよ、いつもね」「そうなんだ」 流石幸村・・・やっぱり、権力があるって違うのね「じゃあ、・・・コレあっちでしててくれる?」と、手渡されたのがドリンクの材料とボトルだ。 部員達のドリンクを作れということだろう「おっけー」私は軽く走って、その場を去った。 (ブン太はまだ、その場にいるみたいだけど・・・その内走るんだろうと思う) *
* * 「さて、・・・ブン太?」 「幸村・・・悪い」 「いや?は鈍感だから、気づかないと思うよ」 「そうか」 「まったく、は少し自覚というものを持って欲しいよ」 「まあ・・・大変だよな、あいつの彼氏っつーのはさ」 「ああ、現にここに一匹獣がいたっていうのに、気づかなかったからな」 「ははは・・・」 そう、俺は10分くらい前にもうここにいたんだ。・・・とブン太の前に出なかったというだけでね。案の定、ブン太はを好きでもうちょっとで告白をしそうになっていたところだった。流石に、も告白をされたらブン太の想いの真剣さに気づき、そして自分を追い詰めてしまうだろう。俺を裏切らないように、でもブン太を傷つけないようにと・・・は純粋で無垢すぎるんだ。俺にはもったいなさ過ぎる・・・くらいにな。でも、俺はを放したくないから、から別れを告げられるまでは俺は・・・を放さない。絶対に、・・・そう、思っている。は、自覚がない。学年の中でも結構モテてるだろうし、学年外からも人気だ。 優しくて、可愛くて、守りたくなるんだそうだ。・・・勿論、守るのは俺の役目だけどね。 本当、委員会が終わってすぐに来ていてよかったよ。「ブン太も油断も隙もないんだから・・・」 「俺、ランニング行ってくるわ」「行ってらっしゃい」手を振ってブン太を見送ったら、後ろからが走ってきた。ああ、できたのか 「ま、間に合った?」 「十分ね」 「よかったー。あ、こんな味でいいの?」 「ん・・・、あ、いいんじゃない?」 「幸村がいいなら、いいね!」 にっこりと笑う君をずっと見ていられることを感謝して、そして、これからも見られることを祈って君と一緒に笑おう。俺は、を愛している |