カタン、と窓の方から音がした。朝窓を開けたがそれ以外窓を開けた覚えはない。
今窓は開けていないはず、と思い振り返ってみると最近姿を見ていなかった幼馴染の姿があった。
もしかして、土足・・・?とか思って足を見るけれど、靴は見当たらなかった(ちょっと、安心・・)
私は目つきの悪い、しかもなかなか窓を閉めようとしない幼馴染を見て、溜息をついた(だって、溜息もつきたくなりますよ)
私は、今やっている宿題のところに付箋を貼り、ノートを閉じた(今居る男は、ノートすらいらないのだろうな)
そして、もう一回その男を見ると、窓の桟に座っていた(いや、なんか妙に寛がれても・・困るんですけどね)
私は、窓まで近づき上から男を見下ろした 「あのさあ、恭弥・・・ここ、うちの玄関じゃあないのよ」 「そうだろうね」 「そろそろ玄関から入ってきてくれない?」 「どこだって変わらないじゃない」 「あのねえ・・・私の家なの、お願い」 「いいじゃない、幼馴染だろう?」 「それとこれとは違うでしょ!大体、いつから窓から入るようになったのよ?!」 「・・最近?」 「真面目に答えろとは言ってないー!」 くそう、私の幼馴染ですけれど・・未だに正体掴めてない私って、一体どうなのよ? おかしくないですか、しかも・・幼馴染の私でも怖い時あるのです(機嫌が悪い時といったら、なにされるかわかったもんじゃあない!) それでも、私はクラスメートの女の子たちとはあんまり話さないし、ぞろぞろと一緒に行動するタイプではなかったのでこの男は多分話をしてくれているのだろうと思う 「ねえ、窓・・閉めたいんだけどね」「ああ、そう」 すっと立ち上がって、私の部屋の床に座った(悔しいけれど、そんな仕草も優雅だった) 私は窓を閉めて、後ろに居る男を見た 「大体、私・・恭弥に入っていいなんて、言ってないでしょう」 「の都合なんて、知らないよ」 「ああ、なにこの自己中な男!」 「君に言われたくないね」 「なにそれ、私が自己中だっていうの?!」 「あれ、そうじゃなかったの?」 「(もう、恭弥嫌・・・!)はあ・・、」 私はその場に座り、折り畳んであったテーブルを出した(収納しやすくて、便利なのよ) 「なにか、いる?」「別に」ああ、まったく・・折角面倒くさがりの私が用意してあげようって言ってるのに、この男は・・! 私はちょっと姿勢を正しくしていたのに、この素っ気ない言葉に一気に崩れた(あーあ、やってらんないや) 私は姿勢を崩してそういえば、と思って話を振った「恭弥、最近いないよね・・なんかしてるの」 でも、本当に・・家にも応接室にもいないときがあるのだ。 いつもは、一日のうちに学校で見かけることがたまにあったのに・・だ(少し、心配になる) 「まあ、恭弥が言うとは思わないけどさ」 「よくわかってるじゃない」 「無茶だけは、しないでよね」 「無茶?するわけないでしょ、僕が」 「帰ってきてよ」 「ここは僕の家なんだから、当たり前でしょ」 私は恭弥らしい恭弥の言葉を聞いて、安心とまではいかないけれども一応、ホッとした(本当に、気持ちが少し楽になったのだ) 私がそのあと安堵の溜息をついたあと、恭弥はその場を立ち、「僕が、の前から消えるわけがないでしょ」そう言って窓から出て行った姿を見て、心が高鳴るのは・・・恭弥に惚れているからでしょう (そして、窓をいつでも入れるようにしておくのも、そのためだったりしてね) |