最近、俺の入っている部活の(所謂男子テニス部です)マネージャーで(勿論レギュラー専属です)俺の好きな人のさんの様子がおかしいと思う(自信はないけれど・・・ね)
例えば俺が見ている限りでは、どこかをじっと見つめていたりしているし、たまにうっとりしているときがあるし、そうかと思うと、はっと我に返って仕事を黙々とこなしているし・・・前まではもうちょっと余裕があるような感じだったような気がする・・んだ。
多分、それは恋なんだろうと思う(それは、俺も当てはまることだったりもするからね)
あーあ、俺がさんの彼氏になれる確率なんて、相当低いんだろうなあ(乾に確立だしてもらおうかなあ)
俺だって、さんのことが好きって気づいたのだって、ごく最近だし(うーん・・2ヶ月くらい、前だっけなあ)接点なんて、部員とマネージャーっていうくらいしかないし、大体好きになるんだったら、跡部の方が妥当だよなあ(結構部長とマネージャーって接点あるじゃんか!)
跡部かあ・・・、俺は勝てないよなあ・・・でも、本気になれば(今のところ、思ってないけど)奪おうと思えば奪えるかもしれない・・恋はテニスじゃねえもんな!
あ、ー・・部活の時間か。でも、行きたくねえなあ・・・このまま、寝てようかなあ(実は下心ありありなのは、知っての通りだぜ!) 「あ、こんなところにいたし・・・」 「ちぇ、寝る前にきちゃったかあ」 「ちぇ、じゃないよ!ほら、部活に行こうよ」 「やだ」 俺は駄々をこねる子どもみたいに、さんの腕を掴んでひっぱった(さんは、困ったような顔をしていた)すごく、罪悪感が湧いてきたのは、さんが俺のところに倒れこんだあとだった「あっ・・・と、ごめん!倒れこんじゃった」と立ち上がろうとするさんを俺は逃がすまいと、抱きしめた「ちょ、ジローくん・・っ?!ど、どうしたの?!」そりゃあ、驚くよなあ・・・とか、のんきに思いながら俺はさんを抱きしめた「ちょっと、このままでいい?」俺が聞くと、「・・う、ん」少し、小さいさんの声がした(その声に、俺は少なからず安心して、抱きしめていた腕の力を緩めた)さんの手は俺の胸板のところにあって、どくんどくんと早い鼓動が伝わっているかもしれない、と思った(まあ、それはそれでいいと思うけれどもね)「さん、好きな人できたあ?」「うぇ・・?!わ、わかっちゃった・・?」「うん」うわあ・・・あからさまに言われると傷つくなあ(しかも、ちょっと耳が赤い・・?) 「俺もねえ・・いるんだあ」「そうなの?!」「うん」 そういえば、傍から見れば微妙な体制だよなあ・・・やば、欲情してきちゃうかも・・(俺の理性よ保てよ!) 「ジローくん・・いるんだね」「さんもね」少し、沈黙が訪れた(さん、何考えてるんだろう・・?)口を先に開いたのは、さんの方だった 「私のね、好きな人はさ」 「うん」 「やるときはやる人でね、かっこいいんだ」 「そうなんだ」 「その人といると、本当、楽しいんだよね」 「俺の、好きな人はね」 「・・うん」 「とても可愛い人で、俺をやる気にさせてくれるんだよ」 「へえ・・・そうなんだ」 もっとたくさんいいところをあげようとしたけれど、ふいに悲しくなってきてしまったから、やめた(あれ、意外と悲しいものなんだな)俺はさんの好きな人が羨ましいと思う。だって、こんなに可愛いさんに想われて、この大きな瞳でずっと見つめられていて、この小さな柔らかい手で肩と叩かれてたり、ああ・・本当に、羨ましい・・・そして、恨めしく思う(なんて、醜い気持ちなんだろう・・・この気持ちを色に表すと、黒・・灰色・・・群青とか、暗いくて深い色だと俺は思う) 告白、しないと・・・後悔するだろうなあ。でも、俺・・・さんを困らせたくないんだよなあ(どうすれば、どうすれば・・・・いいんだろう)「あの、さ・・・ジローくん?」「なに?」「私ね、ジローくんに思われている人が恨めしいんだ」「へ?」 それは、つまり・・・「私、可愛くないし・・多分、ジローくんの好きな人より、少し・・・いや、大分劣ってると思うんだけど・・それでも、」さんは、少し間をあけてこういった「ジローくんのこと、好きです・・・」まじか、まじだよね?「さん・・それは、本当だよね」「うん・・ごめんね、迷惑「じゃないよ!全然!」「は・・?」だって、それは・・それは、「俺はさんが、好きなんだよ・・!」そのあと、さんの泣き声を聞きながら・・数分間、抱きしめていた |