一番後ろの一番窓側の席を誰もが希望するであろう・・・私もその一人なのです。 まあ、今の席も好きですけどね・・・というか、今の席のほうが幸せかもしれないんですけどね(それは、・・・ほら、学生の幸せというか・・・ねえ!) ちなみに、私の席は、まあ・・・一番後ろの前で、一番窓際の右の席です(そして、一番の死角なんですよ!) そして、隣は彼の有名な芥川慈郎だ(そう、男子テニス部のレギュラーの一人で、学園一の居眠り野郎なのです) 私が見る限り、彼が起きている授業というものがないのです。 あ、いないことのが多いんだった(体育は、辛うじて起きているみたいだけどね!) そういうわけで、私の隣がいつも空いているわけなのだけれど・・・だけど、たまに隣に座っているときは暖かいんだ(ええと、・・体温とかそういうのじゃあなくて、彼の雰囲気が暖かくしているんだろうと思うんだ) 私はそんな彼のいる日がとても好きで、どうしようもなく好きなのだ。 そして、今日も彼が隣に座ることを願って席に着いた(嗚呼、神様・・・どうかお願いします!) ガラ、しーんと教室が静かになることはなく誰一人気にも留めないみたいだが、彼が入ってきた。 私の心臓は次第に早くなっていった(う、わ・・・どしよ、挨拶とか・・したほうがいいのかなあ!) 普段のように平静を装っているけれど、心臓は止まる気配を見せてくれない。 っていうか、私がお願いしたら来てくれた・・・?(なんという自意識過剰な勘違いなのでしょうか!) 私は挨拶をしようか、しまいか迷っていたら、芥川くんに呼ばれた「さん、?」「うえ?!あ、な・・なに?」「おはよー」 にっこりという効果音がつきそうなほどの笑顔で言われた「あ、お・・おはよ」としか返せなくて、少しだけ後悔した(でも、挨拶、・・・されたんだよねえ?あれ、なんでだ?) こっそりと隣を見たら、芥川くんはこっちを向いていて・・・あれ、起きてる?「芥川くん、起きて・・・る?」「うん・・ね、さんて、よく授業中とか俺のこと見てるよね」き、気づいていたのか! 授業中、暇があれば芥川くんのこと見てたんだよね・・・気持ちよさそうに寝てるし、起きてるだなんて誰も思わないよ!(ってか、超恥ずかしいんですけどね!) 「俺さ、さんのすっげえ嬉しそうな顔みてから寝ると、いい夢見れるんだよね」 え、う・・嬉しそうな顔してるんだ(うわ、・・・さっきにも増して恥ずかしいんですけど!)



「・・・ね、」
「な・・なんですか(顔合わせられない・・・!)」
「俺、期待しちゃってもいいの?」
「へ?」
「そんなに嬉しそうな顔で見られると期待しちゃうよ?」
「・・・すよ」
「なに?」
「期待、してもいいですよ」



芥川くんの顔が近くなったと思ったら、ちゅ、という音をたててキスされた 「っ!芥川くん・・・」「大丈夫、誰も見てないから・・・かわEー」 芥川くんは、小悪魔みたいな性格だったらしいですね(初めて知りました) 幸福というものは、一人では決して味わえないものだって聞いたけど、当たってるみたいですね! だって、私は見ていたときも幸せだったけど、やっぱり、彼が一緒だともっと幸せに感じますね! 「芥川くん、好きです」「俺もだよー」




幸福論




「まあ、俺のが先に好きになったんだけどね」
「?なに?」
「なんでもないCー」

席が隣になれたのも、必然だったことはさんには秘密ね・・・!