やっぱり、全部が全部・・・運命であったのかなとふと思った。 特に理由はないけれど、こう考えたことも運命ということになるのか・・・じゃあ、俺はこうとも考える『運命とは、誰もが生まれ持ってくるものであり・・・誰にも、狂わせることなどできないものなのだ』俺はそう結論づけた(そうでもしなければ、この内容をずっと死ぬまで考えて生きなければならないような気がしてしまったからだ) 俺はいつものように、寝転んだ。 ああ、雨の臭いがする・・・しかし、それでも俺が授業に出る前までは振らないと思う(時間にしてみると・・・あと、約30分くらいか) まあ、雨が降ればしょうがない・・・校内に入って、体育館倉庫ででも寝てようかな・・・どうせ、授業なんて聞いていられるとは思わないしね(自覚済みだから、楽っしょ?) 俺は、仰向けだった体を屋上の入り口のドアとは反対の方向に向けたら、氷帝の制服を着た女の子がいた(あれ、俺が・・・気づけなかった?気配が、ない)本当に、驚いた。 誰もいないと思っていたのに、フェンスを越した奥に静かに座っている女の子・・・多分、身なりと顔立ちからいって・・・もう、3年生くらいだろう(そんなに、ガキっぽい顔をしているわけでもないし・・・やっぱり、3年生かな) 少し、じーっと見ていると女の子がこちらを向いた(いかにも、俺がなにをしているかがわかるような雰囲気だ)「いたんだ、ね」「ええ・・・途中から、ね」途中から?! 俺が気づかない・・・気配をもなくして、フェンスを越えたとでもいうのか・・・少し、様子をみたほうがいいね「そうだったんだー・・・名前、なんていうの」「」「さんね・・・俺は「芥川慈郎くん、でしょ」「知ってるんだ」「そりゃあね」 まあ、程よく学校事情も知っている感じだな・・・それにしても、顔も足も・・・多分腕とかもなんだろうけれど、色が真っ白いと思う(白いというか・・・寧ろ、もう青白いというか・・・怖いんだ)



「芥川くんは、運命とか・・・考えたことあるの」
「まあね」
「運命かあ・・・これほどまでに、運命を憎んだことはないよ」
「なんかあったの」
「まあね・・・少し、」



さんは、とても悲しそうに目を伏せ・・・足をぶらぶらさせた。 その目はとても生気に満ちているとはお世辞でも言えず、虚ろな目をしていてこの世の地獄でも見ているかのような目をしていた(まあ、本当に見ているのが地獄かどうかなんて、わからないけれどね) それでも、俺が生まれ育った町を見つめるその目に、町がうつっていないかのようだった 「あーあ、どうも上手くいかないんだよね」 ぼそりと言った言葉だったけれど、酷く大きく言ったように聞こえた(それは、俺も思っていたことだったから・・・酷く心に重く圧し掛かった感じがする) 最近は、テニスがすげえ強いやつ・・・跡部とか不二とかとも打ち合おうとも思えなくなっていた(なんだかんだいって、結局悔しい思いをするではないか・・・俺も、そんなに強い男ではないのだから) 「俺も・・・人生そう甘くはないみたいだね」「甘くない、か・・・そうかもしれないね」さんは、納得したようにうんうんと頷いた(そりゃあ、まだ俺らは中学生で、大人から見れば子どもなのだろうけれど・・・一応、一般的な意見ももっているのだ)ああ、子どもとは不便だ。 都合の悪いときばかり、子ども扱いする大人も大人だと俺は思う「運命って、残酷よね・・・なんで、だろ」 「なにがあったかは知らないけどさ、運命とか・・・嫌いなんだよね、その様子から言うとさ」 「そう・・・運命なんて、大嫌い!運命って、人が死ぬまでついてくるものじゃんか・・・私、どうすればいいんだろう」ああ、そうか・・・さんは、「いい、考えがあるよ」「え、なに?」運命から、解放されたいんだ・・・そう思った、俺は立ち上がって俺を見ていたさんをとん、と後ろへ押した(さんは、俺の方を向いていたのだから・・・後ろは勿論、フェンスではないことはわかるよね?)俺はさんを、解 放 し て あ げ た ん だ !





戦線離脱


(さあ、もう君は運命というもののレールからはずれたよ・・・もう、そんな顔をして睨まないで、さん!)