日が暮れそうだ。久しぶりに、夕日をゆっくり見ながら帰っているような気がする。ここんところ、ずっと練習ばかりしていた。今日は練習がなくなった。俺はさっさと帰ろうと思ったのに、に捕まってしまった。



「(ちっ・・)」
「日吉っていつもこんなに速く歩いてんの」



心なしか少し息切れをさせながら、は必死についてきている。なんとなく速度を落とした。は驚いてから、何故か俺の腕に抱きついた。・・胸が少しあたっている。夕日でわからないかもしれないが、頬が赤くなるのを感じた。をじっと見つめた。は意地の悪い笑顔を見せて、前を向いた。



「なに考えてんだ」
「べっつにー・・」



なにか言っているような気がしたが、俺は聞かなかった。否、聞こえなかった。体中が心臓になったみたいだった。俺は体に籠った熱を無くす術を知らぬまま、家路を歩いた。



いオレンジ