「あ・・ちょ、」 「へ?」 突然腕を掴まれた。私は驚いて振り返ると、あの男子テニス部のレギュラーの日吉くんが私の腕を掴んでいた。私も日吉くんもクラスが遠くて話したことなどなかった。日吉くんは同じクラスの子たちにも先輩方にも人気だった 「あ・・」 「えっ、と・・・なに か」 「・・好き だ」 日吉くんは俯いた。一瞬チラッと真っ赤になった顔が見えた。耳まで真っ赤になっていて、でもすぐに日吉くんは顔を上げた。日吉くんの切れ長の目にじっと見つめられて、私は視線を逸らすことができなかった。日吉くんは、「俺・・は、のこと知ってたけど・・は、俺のこと・・知らなかっただろ」といった 「あ・・、うん」 「だから・・、俺・・昼休みに屋上、で待って る」 途切れ途切れですごく緊張していることがわかった。私は、「あ・・わかった」といった。彼はハッと気づいたように腕を掴んでいた手を離した。私の腕には少し跡がついていて、結構強く掴まれてたんだなあなんて思った 「・・悪い」 「あ、私も・・痛くないし、大丈 夫」 「そうか・・」 じゃあな、といって日吉くんは歩き出した。日吉くんが見えなくなるときはまだ耳が赤いのがここからでもわかった。私も顔が熱かった |