帰ろうとしたら、ポツポツと雨が降ってきてしまった。朝は快晴だったから、傘は当然持ってきてはいない。私は自分の鞄を頭に乗せて、駅までの道の途中にある本屋で雨宿りをした 「お前・・確か、」 「あ、・・えっと、日吉くん だっけ」 私は、「だよ」というと、日吉くんはああと頷いた。雨は、さっきよりたくさん振っていた。私は空を見上げながら、日吉くんに、「どうしたの」といった。日吉くんは、「俺は帰る途中だ」といった 「傘もってきてたんだね」 「ああ・・なんとなく振りそうだったからな」 「すごいね・・」 日吉くんは、「お前は持ってきてなかったのか」といった。私は少し恥ずかしくなり、俯きながら、「あ・・うん」といった。日吉くんは少し考えてから、鞄の中をがさがさし始めた。なにか、探してるのかな・・ 「ああ・・あった」 「なにが」 「これ、貸してやるよ」 そういって差し出されたのは、折り畳み傘だった。私はそれを受け取りながら、日吉くんを見た。私より背が高い彼を見上げる形になってしまった。日吉くんは、ふいと目を逸らしてしまった 「ありがとう」 「いや・・」 日吉くんは、「明日・・返せよ」といって、雨の中を歩いていった。私は折り畳み傘をひらいて、家へと帰ることにした。なんとなく、家への道のりが短く感じた |