毎年私の地域には春に祭りがある。昔はどうだったかなんてわからないけれど、私が生まれる前からあったとは思う。結構規模が大きいから、夜店もたくさん出ている。種類もたくさんあって、たこ焼き、焼きそば、クレープ、りんご飴、いろいろある。私は小さいころから赤也と一緒にこの祭りにきていたけどさすがに中学にもなって一緒にはいかないよね、と思って今年は誘わないようにしてたんだけどさ。赤也は毎年一緒にいってたから祭りは一緒に行かないと落ち着かないっていった。だからこうして、祭りに一緒にいるんだけどさ。私ってばなんかうかれてて浴衣なんか用意しちゃって・・・変だよね。しかも、すれ違う女の子たちは赤也のことをみてかっこいいね!なんていっていくから余計に不安になる。おいしそうに食べている赤也を横目に少しため息をついた 「ん、どうしたんだよ?」 「あ、ええっと・・・別に」 「目が泳いでる」 「ええ・・・あっ、あの指輪!指輪が、ほしいなーなんて」 ははは、と笑って近くのアクセサリーの夜店の方を指差した。赤也はもぐもぐと口を動かしながら、「ふーん」といってなにか考えていた。その間にも赤也を見て騒ぐ女の子は増えるばかりだった。ああ・・・せっかく赤也と一緒にいるのにな。嫌な気分だ。最近の赤也はめっきり男っぽくなってしまった。テニスも強いと評判だし背も伸びたし、ルックスも女の子が黙っちゃいないくらいになってしまった。だけど、私は・・・全然、変わってない 「そんなに思いつめるほどほしいのかよ」 「え!い、いや・・違うよ」 「そんなに欲しかったら、自分で買えばいーじゃん」 「そんなにほしいなんて思ってないよ」 「あっそ」 昔から一緒にいてきたけど、最近の赤也は知らない。というか最近話もしないし、顔も朝みかけるだけで広い学校の中ですれ違うことなんて滅多にない。それでも赤也の噂は耳に届くくらいだし、なんか不思議だ。私の知らない赤也・・か。と、ふと周りを見渡すと赤也がいなくなっていた。やばい、勝手に歩いてきちゃった。よく考え込んでて、周りのことを忘れちゃうんだよね・・・。でも、ま、いいか。一緒にいるのつらかったしさ 「遠くなっちゃった、な・・・」 「なにが・・、だよ」 「あ、赤也!」 「少し・・・探したぜ、」 息がきれている赤也は走って探してくれたのだろう。ああ・・・赤也、「ごめ、ん・・・」「あ?いいっていいって。俺が勝手に離れたのも悪かったし」「へ?」と赤也は少し頭をわしゃわしゃと強く掻いて、小さい紙袋をくれた。中をみたら、さっき適当にごまかすためにいった指輪がはいっていた。「赤也、これ・・・」「別に、お前がほしいっていったからじゃねーからな」とぶっきらぼうにいった。私はははは、と笑って「本当に、ありがとう」と少し涙目になっていった 「・・・お前が、暗いと調子狂うんだよ」 「え?」 「だから、は明るい方がいいっていってんだよ!」 赤也が真っ赤になっていうから、私まで赤くなってしまった |