最近この男・・・ジローは私の部屋に入り浸っている。何の脈絡もなく、ただ、漫画を読んだり課題をしたり寝たり。意味もなく、ジローはうちにくる。だけど、私の邪魔をするわけでもないから私はジローをいないものとして、自分のすることをしている。そのことでジローがなにをいうわけでもないから、そのままだ。今日も、 ピンポーンピンポーン ほら、きた 「お邪魔しまーす」 「どーぞ」 私はくるっと振り向いて、ジローということを確認した。「なに?」「別に」「そう」ジローはすぐに床に座って漫画を読み始めた。私はコーヒーを用意した。少しだけ砂糖を入れた、甘苦いやつ。最近、ジローがお茶とか紅茶よりもコーヒーをよく飲むことに気づいた。コーヒーだと、しっかり最後まで飲んでくれる。私はそのことを心得て、コーヒーをだした 「はい」 「・・・最近さ」 「うん?」 「コーヒーがだされること多いよね」 「だって好きなんでしょ」 「・・・」 「・・・」 「俺、言ったっけ」 「ううん」 「じゃあ、なんで・・・」 「だって最後まで飲んでいくじゃない」 そっか、といってジローは黙った。そしてふう、と冷ましてからひとくち口の中へ入れた。ジローはごくんと飲んで、「そんなに見られてると恥ずかC」と笑っていった。どうやら凝視していたらしい。「ああ、ごめんね」そういって、私は課題をしようと思って立った。だけど立てなかった。ジローにひっぱられたから。「・・・」「・・・」ずっと見つめたが、どうやらジローは手を放す気はないらしい。そして私が、放してと言おうとしたら、 「っん、」 キス、された。すぐに唇は離れた。私はぼーっとしていると、「なんで俺がのうちに来てたか、わかってなかったの」といった。深い意味はないものだとばかり思ってた。気まぐれなジローのことだから、気まぐれなんだろうなとしか・・・思ってなかった。まだ、驚きでうまく働かない頭をフル回転させて考える。乾いた唇をそっと舐めた。あまにがい、コーヒーの味だった 「好きだからに、決まってるC!」 |