今日は待ちに待ったというほど待ってはいないけれど、快晴の体育祭となった。お昼過ぎ、昼食を食べて、いい感じにお腹が満たされた。午後の競技は二人三脚と選抜リレーだ。ちなみに、なぜか私が選抜リレーにでることになっている。(い、いつの間に・・・!)(しかも今日の朝に出るってこと教えられたし!)3年生だから、必然的に後の方に走ることになる。男子がアンカーということなんだけれども、




「丸井がアンカー・・・?」
「・・・悪いかよ」
「いーや、意外だなーと思って」
「棒読みでいうんじゃねえ!」




多分、単純な丸井のことだから、仁王だか誰だかに言いくるめられてしまったのだろう。・・・ドンマイ。(その光景が脳裏に鮮明に浮かんでくるよ、丸井・・・)パン、とピストルの音がグラウンドに響いた。あー・・・もうはじまってしまったらしい。私の番が来なければいい、なんて。しかし・・・、さすが足が速い人たちの集まりだ。すぐに順番はやってきた。私はぶらぶらと手足をほぐしたり、ひざの屈伸をしたりしていたら、丸井に話しかけられた。(なんだろ、)(もうすぐ順番なのに・・・)




、」
「なに?」
「全力で走れよ」
「?当たり前じゃない」




そういうと後ろから2年生の男子が、「先パイ、」と呼んでバトンを渡そうと腕を伸ばしていたので、私はそれを助走しながら受け取り、「お疲れ。あとは、まかせて」といって、走り出した。1周は結構長い。私は走りながらも冷静に、前にいる人たちを数えた。1、・・・2、3・・・か。まあまあ、かな。私は少しスピードをあげて、越した。周りがなにかを言っている。けれど、聞こえない。あと、1人・・・なのに。すると、丸井が見えた。ああ・・・終わる。私の視界には、丸井しかいなかった。




「ま、丸井・・っ」
「おう、まかせておけ」




はい、とバトンを渡した。私の左手から丸井の右手へとバトンが渡った。と同時にいっきに丸井は走っていった。さすが、というべきか。前にいた男子も難なく越して、1位で戻ってきた。丸井は私のところへ寄ってきて、ハイタッチをした。(パチン、といい音がした)(気持ちよかったけれど、)(手が痛いよ・・・じんじんする)そして、「俺の走り、天才的だったろぃ」なんていうから、私は、「はいはい、そーですね」と受け流した。丸井は、「棒読みで受け流すんじゃねえ!」と叫んだ。




実はかっこよかった、なんて言えない。言えるわけがない。




この感情はまだあげない

(まあ、お疲れさま)(・・・おう)(おめでとう、1位)(ああ・・・つーか、お前後輩誘惑してんなよ)(?なんのことよ?)(あー別に?)