ついさっきまでチャリに乗りながら、家に着いたらなにしよう、とか、腹が減ったな、とか考えていたけれど、そんな考えが一気に吹っ飛んだ。(ちょ、この光景・・・)(な、なんなんだ?)家に着いて、カバンを置きに自分の部屋へと行ったら、 「・・・んで、てめえが俺の部屋にいんだよ」 「ん、おじゃましてます」 なぜかがいた。こいつは俺の幼馴染というヤツで、しょっちゅうこうやって俺の部屋でぐだぐだしてやがる。ちなみに今日は、雑誌を持参しているらしい。じゃなくて、「許可なく人の部屋にはいるんじゃねえ!」と叫ぶと、「え、だっておばさん笑っていれてくれたよ」なんて。・・・母よ、息子のプライバシーというものを守ってくれはしないのか。 「ったく・・・勝手にしろ」 「わかった。・・・エロ本どこかなー」 「おまっ?!」 「嘘だよ、なんで焦んのさ」 こ、こいつ・・・。(別に焦ってねえよ!)(・・・マジで!エロ本なんて、忍足じゃあるまいしもってねえよ!)つーか、こいつの格好。俺を舐めてんのか?ミニスカートに少し丈の短いTシャツ。そのために少し見えている腰。見えそうで見えない下着。(・・・って、み、見たくねえけどよ)(なんて、少しばかり嘘をついてみるが、)(俺の鼓動は早くなるばかり、だ)とりあえず、「俺の前だからって、んな格好してんなよ」といってみるが、・・・シーン。無視かよ。 「(あああ・・・なんでこいつ、いつも俺のとこ来るんだろ)」 「・・・」 「(っていうか、普通に自分の部屋の方が落ち着かないか?)」 「・・・」 「(面倒くさいだろうに、わざわざ俺の部屋まで来なくても・・・?あれ、?)」 「・・・ねえ、」 「(びくっ、)・・・んだよ」 「(あ、今びくってなった)座らないの?」 「(んだよ・・・びっくりさせんなよな)あ、ああ・・・座る」 座ると、はごろんと寝返りを打って、雑誌を再び読み始めた。(だから、!)(さっきよりも、下着がみ、見えそうになってんじゃねえかよ!)ああ、だから嫌なんだ、俺が男という事実は変わらなくて、が女だという事実も変わらなくて、の格好、ふたりきりというこの状況に、むらむらしてきた。(俺が純情だなんて、誰が決めたんだよ)(俺だって、男、だ) 気がつくと、の雑誌を奪って、馬乗りになっていた。(え、俺・・・)(、が、びっくりしてる)(けど、いい気味だ) 「亮、」 「が悪いんだからな、男の前で無防備になりやがって・・・」 「好きだよ」 「・・・は?」 「好きだから、亮だから、無防備なの」 |