やはり冬だからみんな寒くて閉じこもるからなのだろうか、もしくは学期末が近いから赤点保持者は焦っているからなのだろうか、図書室は夏よりも来客数が目に見えて増加した。漫画を読んでいるものもいれば勉強スペースで勉強しているものもいる。だからといって、そんなに頻繁に来てるものはいないだろうと思う。だけど私は知っている。 「これ、借りたいんですけど・・・」 「じゃあ、図書カードに記入してください」 日吉くん。同じ学年のテニス部のレギュラー・・・というか、3年生が引退してから部長になったらしい。あの跡部サマ直々のご指名だそうだ。テニスのことはよくわからないけれど、多分強いんだろう。きっと。まあ、そんなことはいいんだけれども、最近よく日吉くんは図書室で本を借りていく。ただの偶然なのかわからないけれど、私が図書当番のときに。だから必然と名前を覚えてしまった。 スラスラと鉛筆を動かし、クラスと名簿と氏名が図書カードに記入されていく。・・・にしても、やっぱり美形だな。いや、美人というべきか。切れ長の目に長いまつげ、外の部活だろうに白い肌。女としてうらやましい。ハア・・・モテるんだろうなあ。 「これでいいですか」 「・・・はい、いいです」 「・・・あの、」 「?なんですか?」 読みかけだった本を取り出して読もうとしたら、呼び止められた。?なんか用かな・・・あ、「返却日ですか?それだったら来週でいいですよ」といって、また本を読もうとすると、「そうじゃなくて、」といわれて、顔をあげる。違う?じゃあなんなんだ・・・ 「これ、」 「・・・?紙?」 「メルアド、教えてくれないか」 「メルアド?いいですよー」 なんだ、メルアドか。メルアド・・・って、メルアド?!あの日吉くんが私にメルアド聞いてる?!ウソ! 「ななななんで、私のメルアド・・・」 「・・・迷惑か?」 「え、いや、ちが」 「いきなりすまないな」 耳まで真っ赤にしていう日吉くんに私までつられて真っ赤になってしまった。メルアドをいそいそと書いて、「不束者ですが・・・」っていったけど、私まだお嫁にいくんじゃないし、なに言ってんだよ!日吉くんも呆気にとられて目を見開いている。うわー恥ずかしい・・・。すると、日吉くんはクスッと笑って、「ああ」といって、去っていった。 メールは、帰り道の途中で届いた。ケータイを開くと、 From:gekokujo-daze@d... title:今日は -------------------- ありがとう これからよろしく 好きだ |