今日は月曜日で、美化委員の当番の日だったことを思い出した。まあ、ほとんど毎日世話してるんだけどね。美化委員になったのは、委員会かクラスの係をどちらかしなければならないということで、どうせだったら好きなことをしたいと思ったからだった。自分の植えた花々が元気に育っていくのを見るのが好きだ。枯らさないように地味に育てていくのも好きだ。どうせ、他のひとはサボったりしているんだろう。だから、私は花壇にいくのが日課になってしまった。(今日は踏まれてないかな・・・)




「じゃあ、委員会の仕事あるからいってくるね」
「美化委員大変だね。あー・・・でもいいのか」
「?なにが?」
「幸村くん、いるんでしょ!うらやましい・・・」




うっとりする友人をそのままにして私は教室を出た。そう、我が立海にて知らない人はいないであろう硬式テニス部部長の魔・・・なんでもないよ、幸村くんは美化委員だったりする。私も最初は驚いた。そして、部活を優先して当番になんて来ないのだろうと思ったことは今でも覚えている。だけど、




「今日は、まだ・・・か」




ちゃんと当番の日には花の世話をしに来る。なんでも趣味はガーデニングだそうで。最初に来たときには驚いた。というか、私は当番の日ではなかったのだけど、どうせ来ないんだろうと思ってジョウロに水を入れて、花に水をまいていたら、「君・・・今日当番だったっけ?」と横から話しかけられたのである。私は社交的なほうではないから、あわあわしていたら、花壇のほうを見てから、「君が毎日世話してくれてるんだね」と笑っていってくれた。それから、月曜日は一緒に世話をすることになったのだ。約束をしたわけではないけれど。暗黙の了解になっていた。




同時に、恋をした瞬間だった。




「あ、踏まれてる・・・」




花壇の端の花が倒れていた。かわいそうに・・・。両手で土を盛り、立て直そうとするけれどすぐに倒れてしまう。ふと、近くに小枝を見つけた。これを立てて巻きつければ・・・、そう思って小枝を立てて巻きつける。ほっとした。




さん、・・・」
「幸村くん」
「遅れてごめん」
「ううん。いいよいいよ」
「それ、」
「踏まれてたの」
「そう・・・」




幸村くんは酷く優しい。優しいから、人の気持ちにも敏感。私の気持ち、気づいてるかな。




「じゃあ、はじめよっか」
「そうだね」




あの日見つけたあの表情

(君は気づいていない)(あのときから、俺が君の笑顔に惹かれていることを、)