うちの家でお雛さまをまともに見たのは何年ぶりだろうか。2日に学校から帰ってきたら、飾ってあった。珍しい・・・。じーっと見ていたら、チャイムがなった。そういえば、ジローがうちに来るとか言ってたっけなあ。っていうか、はやいな。 「こんちはー」 「ジロー、はやいね」 「ニシシ、急いできたCー」 少し服装が乱れているような気がする。髪の毛も、いつものふわふわがボサボサになっている。別に、そんなに急いでこなくてもいいのに。私はスリッパを出して、「あがって」とジローを招いた。ジローは笑って、「おじゃましまーす」といって、はいってきた。 「わー久しぶり!」 「そうだねー」 「夏以来?」 「そうなるかな」 ジュースとシュークリームを差し出す。シュークリームをほおばりながら、ジローはキョロキョロしている。そんなに変わってないはずなんだけどな・・・。「ジロー、どうかした?」と聞くと、「んーん、なんでもねー」と言われた。(なんでもないって言われると気になるんだよ)(ああ、もう) 「そういえば、のうちって毎年お雛さま出してんの?」 「ううん、今年なぜか飾ってあるけど」 「そういえばさ、」 「なに?」 「お雛さましまうのがおくれると」 「うん」 「お嫁に行き損ねるんだって」 は、そんな話があったんだ・・・って、そうなの?!ウソ?!えー聞いてないよ、お母さん。つか、普通に今日しまう気ないでしょ。あーあ、私お嫁にいけないのか。 「私、お嫁にいけないかも」 「え?!そーなの?!」 「うん・・・」 「じゃあ、俺んとこ来いよ・・・なんちって!」 「は、」 「もう、俺が、お嫁にもらってやるっていってんの!」 |