黄金週間真っ只中。世間は長期休暇ということで浮かれているやつが多いが、休みなど関係のないうちの部活はここぞとばかりに今年は合宿をすることになってしまった。ブルーだ・・・。練習中にもかかわらず、俺はケータイを見つめる。そしてため息。今日、俺誕生日っていうこと知らないのだろうか。まあ、アッチも部活で忙しいのだろうけれど。




「はあ・・・」
「おいジロー」
「・・・ん、」
「邪魔だ、練習に集中できねえならどっか行ってろ」
「跡部!それ言いすぎ・・」




俺は無言でそこを立ち去った。跡部が意地悪でそういうことをいうやつではないということを知っているので、俺は何も言わない。どこへ行こう。やっぱり部屋へ戻ろうか。歩きながらケータイを何度も何度も確認した。そりゃ、こんな真昼に連絡なんて来ないよな・・・。




pipipi ... pipipi ...




「!?」




驚いて思わずケータイを落としそうになってしまった。着メロが止まらないから、電話なんだと気づく。しかも名前を見ると、からだった。ゴクリ、と生唾を飲み込んで深呼吸をした。そして、気合を入れて通話ボタンを押した。




「もしもし、俺だけど」
『ジロー?出るの遅いよー』
「ごめんごめん」
『練習中じゃないの?』
「あー・・・うん」
『ホントー?』




クスクスと笑う声が聞こえる。ああ、久しぶりだ。今までブルーだった心もだんだん晴れていくのがわかった。やっぱり、好きなんだなーなんて。




「・・・どうしたの」




すると、




声、聞きたくて



ケータイと俺の後ろから、声が聞こえた。


(どうして?!)(跡部から迎えが来たのよ)(跡部・・・!)